論「社会福祉とイノベーション」

社会福祉とイノベーション

社会福祉法人みその児童福祉会
理事長 江草安彦

社会福祉の充実、発展をはかり健全な社会づくり、すべての人々に充実した人生を送っていただくためには、従来通りの考え方に縛られていてはこの大きな目標に到達することは出来ない。まずは、社会福祉のイノベーションが必要である。創新のためにはまず意識改革から始めねばならない。

イノベーションは技術ではない。イノベーションに必要なのは改革しようとする意志で ある。まずは一歩を踏み出すことが大切なのである。その結果、イノベーションモデルはそれぞれの環境条件の中で醸成される。イノベーションは短期的な戦術ではなく、中長期的な戦略的なものである。イノベーションモデルは思いつきではなく複眼的な視点で進めるものであり、整合性がある、それだけに重みがある。課題に対して連立方程式を解くようなものである。定められた方向性にむかって果敢に進め、チャレンジすることが出発点と言えよう。そうすれば小さな成功かも知れないが、一歩前進となる。この成功の積み重ねにより百年の計は前進していくのである。

歴史家アーノルド・トインビーが「人は何でも知っている。しかし自分を知らない」と言っている。けだし名言である。イノベーションは自分を見つめるゆとりがなければ成功しないだろう。

新しい社会づくりの原動力となるであろう社会福祉法人、各種社会福祉施設は長らく、 わが国において国難と言ってもよいほどの幾多の困難に出くわしてきた。その困難に挑戦した不屈の先輩たちに見習おう。自分を見つめるゆとりとイノベーションへの強い意志で行動しよう。

※この論文は、社会福祉法人全国社会福祉協議会発行の「経営協」12月号(2011Vol.339)に掲載された文章を転載しています。

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